「緑のターラだ」
痛みをこらえつつ、うっすらと目を開けた時
目の前に居たけいこさんの、ちょっと笑ったようにも見える顔を
「緑のターラ」だと思った。
けいこさんのチネイザンは2回目。
以前タナチャイ先生のところにいた彼女に一度受けたことがある。
充分に経験を積んだけいこさんは、そこを出て独立。
チェンマイの見晴らしの良いアパートメントの、こざっぱりとした一室で
それはウットリするほどの女性らしい気遣いで、
常夏のタイにおいても冷え性の私に、ホットパックで足を、背中を温めてくれ
天女の羽衣のような薄布でむきだしの腕を覆ってかの施術が始まった。
強く、優しく
私の臓器が攻められていく。
心の深海の奥深く、積もり積もったネガティブな感情が
蛇のようにとぐろを巻いて、そのターラの刺激にのたうちまわりながら
主の体から追い立てられるのを拒否しているようだ。
胸が詰まって、腕がこわばり、動けない。
えも知れない重圧に抑え込まれたように
何ともいえない、発狂したくなるような感情が
私の心臓を、全身をわしづかみにする。
そんな私をけいこさんは、抱き起し優しく抱きしめてくれた。
「叫びたければ思いっきり叫んでイイよ」と。
だけど、大声を出すなんて山奥じゃあるまいし、と躊躇している間に
「わぁ~!!」っと、けいこさんが叫ぶ。
それに便乗して私も叫ぶ。
「わぁぁぁぁ!!!」
私の蛇が口から、腕から足から引きずりだされていく感覚。
...緑のターラ
観音菩薩の左目の水晶の涙から生まれた、風のように素早く駆けつけて
災難から身を守ってくれる女神
うん。風のように、ってところもけいこさんぽい。
タイにきた目的は他にあったけど、
今回は、緑のターラ菩薩が
けいこさんのチネイザンを受けるように
との、思し召しでここに至ったに違いない。
[ののさま(観音さま)チネイザン]
出会えてしあわせ
吉澤 貴子さま (セラピスト 香川県)
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